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SPECIALスペシャル

主題歌アーティスト・春奈るな
リリース記念インタビュー

――『冴えない彼女の育てかた』シリーズコンプリートEP「glory days」発売おめでとうございます!
 『冴えカノ』の集大成にふさわしい一枚になったと思います。「glory days」はもちろんのこと、これまでの『冴えカノ』TVシリーズのオープニング・テーマを収録させていただいて。さらに、ありがたいことにエンディング・テーマ(「カラフル。」、「桜色ダイアリー」)をカバーさせていただいているので、このEPを一枚聴くだけで、アニメ『冴えカノ』第1期から振り返ることができる作品になっています。
――表題曲「glory days」は第1期、第2期エンディング曲の作詞作曲を手掛けられた沢井美空さんとの共作です。歌っていて、春奈さんの気持ちが昂るところはどんなところでしょうか。
 サビのパートです。歌詞だと、「もうきっとずっと忘れない」というメロディがジャンプするところは私の気持ちも高まるところでもあるし、歌詞もグッとくるところだと思います。沢井さんは繊細に曲作りをしてくださるので、歌っているけれど語り掛けているような感覚に近い気持ちになれます。あとは「君の理想になれなくてため息の日もあった」というフレーズは(加藤)恵らしさを感じられる歌詞なので気持ちが入ります。
――春奈さんは作詞も参加されていますが、力を入れた部分はどんなところでしょうか。
 歌詞に第1期と第2期のオープニング・テーマ、エンディング・テーマの曲名を散りばめています。あと、歌詞を読むと、恵の心の変化を感じていただけるんじゃないかと思っています。作詞にあたって今回の劇場版のシナリオを事前に読ませていただいたんですが、これまでフラットだった恵が、劇場版では女性らしいかわいらしさがあって、ちょっとずるくて賢い、理想のヒロイン像が見えたような気がして。そこから「歩幅合わせて並ぶ影独り占めしたいんだ」という歌詞が生まれました。
――恵自身の感情が見える歌詞が印象的です。春奈さんは「glory days」のMVではウェディングドレスを着ていらっしゃいますね。このMVのコンセプトはどんなものだったのでしょうか。
 “成長”、“大人”というキーワードが1つのコンセプトではあります。『冴えカノ』シリーズは、回を重ねるごとに“成長”し“大人”になり、そして今回Fineを迎えます。そんな想いも込められています。外ロケ(屋外撮影)で全部を撮影するというMVは今回が初めてで。見上げると晴れわたる空が広がっていて、草木の香りが感じられて……そういう場所でMVを撮ったことがなかったので、すごく開放的な気持ちで、楽曲にぴったりなMVが撮れたんじゃないかと思います。衣装は私がデザインプロデュースをさせていただいているLUNAMARIAのドレスを着ています。ワンピースを着ているシーンでは、恵をイメージしてボブのウィッグを付けています。私はずっとロングヘアのイメージが強いと思うので、ボブヘアの新鮮さもあると思います。実は楽曲タイトルの“glory”には“恵み”という意味合いも込められています。そんなことを意識しながらMVを観ていただくと、また違った発見があるかもしれません。是非、皆さんの視点で楽しんでいただきたいです。
――今回のEPには「君色シグナル」「ステラブリーズ」が収録されていますが、春奈さんにとって、この2曲はどんな思い出のある楽曲ですか?
「君色シグナル」も「ステラブリーズ」も私としてはチャレンジの楽曲でした。それまで私は「空は高く風は歌う」や「Overfly」のようなシリアスな楽曲を歌うことが多かったんです。そんな私がポップな歌を歌うと、どんな化学変化が起きるんだろうと、自分でもわからなかったんです。実際、この曲を歌って、これまでと世界観がガラッと変わった感じがあって。等身大の気持ちを歌う楽しさや素敵さを教えてくれた曲になりました。実は先日、中国でライブをしてきたんですけど(BILIBILI WORLD上海/上海新国際博覧中心)、「君色シグナル」のイントロが流れるだけでファンの皆さんが大きく反応してくれて、いろいろな国で愛される曲になったんだなと感じました。あと「ステラブリーズ」はシングルの表題曲で初めてフルの作詞に挑戦させていただいた曲でした。それまでも何曲か歌詞を書いていたんですが、共作やアルバム収録曲だったんですよね。このときは『冴えカノ』と向き合っていた時間が一番長かったと思います。「この表現を入れたいけれど、文字数があわなくて入らない」とか「これも入れたいし、あれも入れたい」と迷っているうちに、2ヵ月もかかってしまって。かなり難産だったんですが、最終的には自分も満足できたし、『冴えカノ』にも寄り添える楽曲になったと思います。
――そして先ほどもお話にありましたが今回はエンディング・テーマ「カラフル。」と「桜色ダイアリー」を春奈さんがカバーされています。
 すごく大きなプレッシャーがありました。この2曲は『冴えカノ』ファンにとってもなじみ深い曲だと思うんです。自分でもどういうふうに歌ったらいいかなとかなり考えました。カバーさせていただくと言っても自分を押し出すのは違って。この曲は『冴えカノ』の曲なんです。自分自身ではなく、自分の解釈した『冴えカノ』を、この曲で表現しようという気持ちでした。だから、沢井さんや妄想キャリブレーションのみんなを意識して歌っています。
――「カラフル。」は第1期のエンディング・テーマ、「桜色ダイアリー」は第2期のエンディング・テーマと、楽曲が流れたタイミングが違います。当然、キャラクターの関係性も時期によって違うわけですが、そのあたりの変化は意識しましたか?
 そうですね。「カラフル。」のころの恵はすごくフラットな状態ですよね。「桜色ダイアリー」はちょっと「こじれた」恵が表現されていると思うんです。一筋縄ではいかない恵の魅力の変化をそれぞれの楽曲で歌おうと思っていました。
――「カラフル。」の原曲は沢井さんが歌われています。実際に歌ってみて、いかがでしたか?
 沢井さんの歌い方って、楽曲を聴いている人にスッと入っていくような感じがあるんです。「女の子みたい や、そなんだけどさ」っていう歌詞があるんですが、ここの歌い方が本当に素晴らしくて。自分の耳元で語りかけているような歌い方なんです。そこを再現するのがなかなか難しくて。レコーディングの時には、このパートを最後に収録しました。何テイクも重ねて、一番「自分に入ってくる」テイクを選んでいます。すごく歌っていて楽しいです。
――「桜色ダイアリー」はグループアイドルが歌っている楽曲ですから、レコーディングもご苦労されたのでは?
 難しかったです! 掛け合いの場所もあって。ひとりでは成立しない構成になっていたので、別録りをして。大勢で歌っている感じにしています。サビのパートはダブル(2回歌って、歌を重ねる)にして……。自分が歌ってきた楽曲の中でも過去イチ難しい曲だったと思います。
――過去イチ難しい!
 エネルギーがあるうちにサビのパートをレコーディングしてしまおうと。最初にサビをレコーディングしました。
――体力の配分を考えながらレコーディングしてたんですね。
 今後、もしこういった楽曲を歌う時は、体力も含めて考えないといけないですね。これからの課題です。
――かなりバラエティ豊かなEPになりましたね。
 曲調も含めて、かなりバラエティに富んだものになりました。聴き応えがある1枚になったと思います。
――そして、このコンプリートEPのジャケット、封入されているミニポスターは、CloverWorks描き下ろしで、4人(安芸倫也、加藤恵、澤村・スペンサー・英梨々、霞ヶ丘詩羽)が描かれています。
 ジャケットを開くと安芸くんと恵が向き合い、英梨々と詩羽先輩が向き合っているんです。背景をよく見ると、坂の下に安芸くんと恵がいて、坂の上に英梨々と詩羽先輩がいるんですよ。「先に行って、待っているわ」みたいな会話が聞こえてきそうな構成になってます。ちなみに、私のシングルのジャケットに安芸くんが登場するのは今回が初めてなんですよ(笑)。
――満を持しての安芸くん登場ですね。さて、このコンプリートEPが発売されると、数日で劇場版『冴えない彼女の育てかた Fine』が公開になります。
 私はシナリオを読んでしまったんですけど、やはり色がついて、声が入って、命が吹き込まれるとガラッと印象が変わると思うので。完成した映像を見るのが楽しみです。これで『冴えカノ』が終わっちゃうと思うと寂しいのですが、みなさんといっしょに最後を楽しみたいなと思います。

SAENAI HEROINE NO SODATE-KATA. FINE